2019年1月2日水曜日

元旦、先山初詣 歩き打ち2019

家を出たのは午前3時50分。


風はなく静寂に包まれた朝、二十五夜の月が南東の空の軒上にある。その下に金星。
それ以外は、満天の星だった。



海岸線を走る国道28号線を洲本方向に歩き、塩田からは山にあがる。その後はずっと山の中。
正月に先山(せんざん/標高448m/愛称・淡路富士)に登るのはこれで何度目になるのか、それにしても静かだった。


スマホを懐中電灯にして道を照らす。
頭上が開けた場所ではその明かりも要らない星空だが、木々の下に入れば暗闇になる。

歩き慣れた道とは言え、やはり闇の中では不安になる。
塩田(しおた)を抜け安乎(あいが)に入り僅かな町も抜けると、田園地帯になった。
頭上に広がった大きな星空を改めてゆっくりと見た。



オリオン座、北斗七星を見たのは久しぶりだ。
まだどこにも朝の気配はなく、外灯のない田中の道に電灯は要らない。
朝早く起きたご褒美のような星空は、これが年の始まりにふさわしい元旦の空に思えた。





歩いて二時間ほど経つと、
島の中央を走る高速道路(神戸淡路鳴門自動車道)が見えてくる。


先山に向かう道は毎年歩いている道だが、毎年そのルートは少しずつ違う。
それは主にこの高速道路のせいだ。
高速が出来たのは20年ほど前だが、5年前からちょうど僕の歩くルートに新ICの建設が始まった。
後で知ったが、昨年2月17日に開通したらしいこのICの名前は「淡路島中央スマートIC」。どこがスマート?

ナビにも出ている。

僕が使うナビは、Apple MapとGoogle Mapだが、このナビを道標に歩いてきて、ある場所で止まった。
見れば、「この先通行止め」の先をナビは指していた。
金網に閉ざされていれば、これ以上進むことは出来ない。
ここまで完全にナビ頼りだった為、この二つのMapが使えなくなると急に不安になる。

仕方なく勘頼りに歩くが、世界はまだ闇の中にあるので、この道がどう繋がっているのか分からない。
適当に歩いていると、またどうも変な道に迷い込んでしまったようだ。


困ったなと思いつつも、こんな緊急時には重なるもので、僕の体の中にも緊急事態が発生し、すぐ様道路脇の暗がりに座り用を足した。
立ち上がってズボンを上げていると、そこで思いがけなく黒い人影を見た。



家を出発して二時間以上、
ここまで一人の人間ともすれ違っていないのに、こんな場所でどうして人が現れるのか?


僕は慌ててズボンを整えその人に近づき、
「すみませ〜ん」と声を掛けた。

するとその方は、
「うわぁっ」と驚きの声を上げ、二三歩後ろに下がった。


僕も慌てて、「いやいやいや、おはようございます」などと再び言い、
するとその方は少し落ち着いたようで、
「ああ、びっくりしたわ、きつねかと思た」というので、「いやいや、タヌキですよ」とは答えず、
「人間です」と僕は言った。


時刻は朝6時半?くらいだったと思うが、この方は毎朝ここを歩いていて、人と出会ったのは今日が初めてだったという。



僕は 先山まで歩いていて道に迷ったことを伝えると、
その方は丁寧に道を教えてくれたのだけれど、その説明が長く、鶏頭の僕には覚えられない。
いつ終わるかわからないような説明を聞いていると、僕はもう諦めてこのまま来た道を帰りたいと思ってきた。
時間も30分ほどロスしているし、この迷ったことで疲れてしまったのだ。
僕が「ちょっと覚えられないので」というと、より熱心にその方は説明を始める‥‥‥。

とても親切な方なのだ。

それでその方の言葉を遮り僕は謝って、「すみません、もう今日は引き返しますので」というと、
今度はその人が、
「そんなら、ワシが連れてったる」と言い、
先山への参道 がわかるところまで一緒に歩いてくれた。

礼を言って、その方とそこで別れる。



こうなると引き返すことも出来ず、仕方なく山を登り始めた。
ここから先はずっと登りが続く。

すると間もなく足音が後ろから聞こえ、一人の青年が走って来た。
軽やかに僕を追い越し、その先に上にあがっていく。

僕の足取りは重かったが、途中でご来光を見た。








遠く和歌山から、その奥の奈良、熊野の山々がご来光に浮かんで見える。


本当は山頂で拝むつもりだったが、山あいで手を合わせた。





一時間ほど登って先山千光寺に到着。


























早々にお参りを済ませ、来た道を戻る。

山を下るのは楽だ。
この道はアスファルトだし、凍ってもいないので滑る心配もなく軽やかに下る。






高速道路が見え、おじさんと別れた場所まで来た。

そこからプレイバックしておじさんと会ったところまで歩く。
夜は明け、陽光が射す完全に明るい朝なので辺りを見回してみれば、目の前にピカピカの淡路島中央スマートICが広がっていた。

そこから、僕が最初にナビで行き止まりになった場所に戻ろうとしたが‥‥‥、
それがいくら歩き回っても、今度はその場所が分からなかった。


どうしたことか、そんな場所は、消えていた。


見渡して、迷いそうな道などどこにもないのだ。

僕の方がきつねに騙されたのかもしれない。




諦めて再び帰路についた。

山を登っていた時にはあんなに重かった足取りが、なんと軽やかなことか。
大地が明るいということが、こんなに楽に歩けるということを改めて知らされる。



順調に歩いて、家に戻ることができた。

ちょうど11時に帰った。


片道14km、往復28km、7時間10分。

去年は6時間半だった。40分ほどが道に迷った分か‥‥‥‥‥‥




風呂に入った後、11時半から弟と母と三人で、新年の挨拶をしてお雑煮お節などを頂き、
そのまま夜にも突入して、一日をグダグタと過ごす。





一年の計は元旦にあり、などという言葉もあるが、

今日の僕はどういうことだろうか?


困難なことに当たるも、助けてくれる人が現れ、無事に過ごせると思えば、

皆様に、手を合わせるしかないだろう。







また一年、よろしくお願い申し上げます。



新年、明けましておめでとうございます。



2018年12月26日水曜日

快調!大太鼓合宿2018、来年も打ち込み続けます!

待ちに待った大太鼓合宿!

今月12月上旬に行われた大太鼓合宿『Oh!太鼓 Vol.83』を振り返る。




初日の一日は打ち込みと決めていた。

これなら太鼓が初めての人でも、参加できる。
実際にはこの日は経験者ばかりだったのだけど、大太鼓が初めての方がお一人。



初日は、ゆっくりゆっくりスタートして、どんどんどんどんと熱くなっていく。

体全身で時間をかけて打ち込んでいく作業は、この太鼓合宿でしか経験できない。



今回の参加メンバーも特に熱いメンバーばかりだった。

今年最後の合宿だからか、
大太鼓合宿の過去現在のスーパー常連メンバーが集結していたので、
搬入も進行も非常に楽。

そして打ち込みにも集中できた。
やはり太鼓の稽古はこうでなくっちゃという稽古が出来た。







宴会も熱く、時間が経つのがえらく速い。

最初時計を見た時が9時半で、だいぶ飲んだと思ってまた見た時が10時半で、
こりゃまだ時間がたっぷりあるなと思っていたら、
次に見た時はすでに12時半を過ぎていた。
飲んで喋っていると時間の感覚が無くなるのが、正しい宴会だ。

慌てて合宿初参加のMさんを連れて僕は部屋に戻る。
他の皆さんを残して。。。








そして合宿二日目は、『Belle lle(ベリール)』一色だった。

これは前回合宿から稽古が始まって、今回は二回目の稽古となる。



僕の作曲法は色々あるが、
今回の作曲は二段階で作っていく方法。
初段階は僕の頭の中だけで考え、二段階目は実際にその曲を叩くメンバーがそれを打つことで見えてくる音を形作っていく作業。

二段階目の今回が二回目。来年2月の稽古が三回目で完成を目指す。



作曲とは何なのかと思う。
音の材料・テーマやオカズは僕が用意をして、そこにプレイヤー・登場人物が現れると物語が動き出す。
どう語らせるのかが作曲の醍醐味ではないのか‥‥。

誰がどこでどう語るのか?
それが見えないことには、物語が進んでいかない。

大事な一日だった。

七人のメンバーが物語を作ってくれた。

音が形となって見えてくるものを記録する。それが作曲。
皆の気持ちが一つと成れた時、それが現れる。




今回の曲に関しては、最初に曲名が決まった。
『Belle lle(ベリール)』フランス語で美しい島という意味。


その後、中身に悩んでいた時、観た映画が『クレイジーリッチ』で、
この映画を見た後の帰り道、主人公であるレイチェルとニックが語り合い踊るようなリズムが聞こえてきて、それをこの太鼓曲の土台としてみた。
しかし、曲の基本は出来たもののそこから先に進まず、二人の姿もその後見えなくなってしまっていた。


結局、レイチェルとニックは帰って来なかったが、替わりに、
おりょうと清之輔が紅璃瑠(べにりる)を手に現れた。
 ※これは当時、僕が読んでいた時代小説の影響があったのだろう。


そんな風に少しずつ曲は形になっていくのだけれど‥‥‥








短い昼休み、参加者の一人・Sさんが文庫本を手に読みふけっていた。

11月から忘年会シーズンが始まり、
これまで連日忘年会を仕切っているという某有名菓子会社接待部長であるSさんは、睡眠時間3時間で今日も稽古に参加してくれている。

そんなSさんが寸時を逃さず何を読んでいるのかと気になり近づいた僕だったが、察したSさんは僕の視線を遮りすぐさまその本を閉じた。

「何を読んでいたんですか?」と問う僕に、

「頭が疲れたので、何も考えずにいられるものを読んでいただけですよ」と涼しげに答える。
いつもこんな一言で女性を口説き落としていたに違いない。


体を見ればラクビー一筋の体育会系男子だが、実は無類の本好き。
連夜の接待部長も下戸のSさんならでは務まるのかもしれない。


この風体から想像できなかったSさんの意外な特技がもう一つある。
それが踊りだ。

僕はこれまで勿論世界数多色々な踊りを観てきたが、
Sさんの踊りにはどう表現して良いのか分からない風味と色気がある。
しかも御本人はチラリと見せるだけで、すぐに隠してしまうものだから、
こちらは余計に見たくなってしまう。

余程、興に乗らねば動かない舟のようだ。


そしてベリール(「美しい島」という意味)に辿り着く最後には、この舟が必要なような気がしてならない。








恥ずかしがり屋のSさんは、この写真からも逃げて写っておりません。






来年もやります続きます、富田和明的太鼓合宿『Oh!太鼓』!



2月10-11日(日・祝月)Oh!太鼓 Vol.84』



3月16-17日(土・日)Oh!太鼓 Vol.85』

以上の二つは発表会用の稽古となりますが、
3月16日の稽古は、太鼓が初めての方でもかまいません。

また4月以降のものは、一般の方いつでも大歓迎です!







来年も、よろしくお願い申し上げます。

皆様、佳いお年をお迎え下さい。









淡路島の海をバックに‥‥‥

富田和明


2018年11月1日木曜日

『富津じねんじょ音頭』が聞こえる秋

気が付けば11月、2018年も残り二ヶ月を切った。


一日(ついたち)は色々と手続きがあって、それが終わった後、天気も良いので千葉に行くことにした。
特に理由はないが、たまには美味しい寿司でも食べたいなと思い。

それで東京アクアラインを通って木更津 道の駅へ行き、地元名産品物を拝顔した後、
スーパー回転寿司やまと君津店に行く。


せっかくなので、お隣の富津市に住む太鼓アイランドメンバーで屋根屋のKさんに電話を掛けてみたら、
大忙しの仕事中だというのに、わざわざ会いに来てくれた。

しかも巨大自然薯と冬瓜のお土産も一緒に、
「富津(ふっつ)じねんじょ音頭」という舞を踊りながら、
寿司屋の駐車場に現れる。





ハァ〜 秋は じねんじょ 他でもないが
長く伸びたる芋と根を とろろ味噌汁 麦とろ飯に
かけて祝うは 山の幸 
命のばして ふっつ、ふっつ、富津の里に〜 




Kさんは、歌も唄える屋根の上の太鼓打ちだ。




後光が射したようなKさんの笑顔に出会えると、つい空想の世界に引き込まれてしまう僕だ。




鱈腹寿司を頬張って、またアクアラインを引き返し家路に付く。
高速道路を使えばかなり近い。




家に帰って、頂いた自然薯を広げたら、かなりの大きさだった。
隣に笛を一緒に置いてみた。

さて、これをいったいどうやって食べればいいのだろうか?






夜は寒くて、初めて灯油ストーブを点けた。
暖かい。

いよいよ冬の到来だ。





そう思った途端、再びKさんの歌声が僕の耳を襲った。



ハァ〜 冬は じねんじょ 他でもないが
力湧き出る餅のよに 揚げてうまいは磯辺揚げ
やいて恥ずかし 焼き餅よ 
胸を焦がして ふっつ、ふっつ、富津の里に〜