午前2時40分起床。3時に実家を出発。
外に出てみれば、風もなく、時間が止まったような空間に見えた。
そこで僕一人だけが動いている。
気温3度も、寒さを全く感じない。
空には北斗七星、オリオン座他多数、冬の星座が雲の隙間に煌めく。
大方は晴れているが、月の姿がない。
スマホの懐中電灯を翳して歩いた。
田舎道に外灯は少なく、国道28号線を離れると闇のようになる。
黙々と足元を確認しながら、一歩一歩足を進めるしかない。
去年の反省から、今朝は目覚めてから水を一口飲んだだけで、何も口に入れていない。
それでも出てくるものは出る。これが厄介だが、出ないのも困る。
自然の摂理に従って、道を往く。
暗闇の中を歩くのは、周りが見えないので、道を間違いやすい。
もう何度も何度も歩いている道でも、不安に駆られることがあり、考えすぎて間違ったりする。
が、
今朝は間違っても早い段階で修正できたので、大きくは違わず、定刻に山の麓に到着した。
ここは島の中央を縦断する高速道路下のトンネル。
ここからは外灯も一切ない山道を昇る。
樹々で覆われ星も月の姿もないので、完全に闇。
闇の中で、標高448m・先山千光寺の階段下、西茶屋に着いた。
午前6時11分。
もちろん茶屋は無人だ。
最初の階段は、18段。
二つ目の階段は、70段、三つ目は72段、4つ目は49段、
合計209段。
階段を昇ると人はいた。それでも四、五人。
静まり返った本堂前で般若心経を声に出して唱えた後、次に町石道に向かう。
下山しようとすると空の色が変わってきた。
そして登ってくる人の姿も増えて来た。
すれ違いざまに、
「あけましておめでとうございます」と口々に交わす。
こうして、新年になったんだと実感した。
町石道の途中に一箇所だけ御来光を望める場所があって、
僕がここに来た時にはまだ誰の姿もなく、
そこで待つこと27分、
その間にどんどん人が集まってきて15人ほどが見守る中、午前7時12分、
奈良の吉野山から朝日が顔を覗かせた。
海を隔てた対岸の和歌山、奈良がほんとうに近くに見える。
淡路島の日の出は海からだと思っている人が多いかもしれないが、山から昇る。
陽が昇ると一気に明るくなり、先程までの闇が嘘のように晴れた。
帰り掛け、振り返って見る先山は、明るく笑っているように見えた。
帰り道は迷うこともなく安心感はあるが、足は疲れてくる。
志筑の実家に戻ったのは、午前10時。
ちょうど七時間の歩き打ち。距離は27か、28km。
風呂に入って、11時に皆んなで朝食?お正月のご馳走を食べて、
その後、自凝島(おのころ じま)神社に初詣に行く。
新年、明けましておめでとうございます。
2020年の夜が開けた。