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2016年6月28日火曜日

『和太鼓トーク齊富2016』終演に寄せて、その奈々 





和明じいさん、昇天七日後



「やっ 和明(と右手を差し出す)‥‥待ってたよ

「やめて下さいよ 待ってたなんて」

「いや〜 もうさすがの和明もそろそろじゃないかと思ってたんだよ

「まあ いずれ来なくちゃいけないとは思ってましたけど 待ってたって言われるとね〜
  あれっ? ずいぶんとお元気そうですね

「うん なんかね こっちに来て若返った気がするよ

「そりゃ良かったですね

「けっこうこっちでも忙しくてね

「そうですか 何やってるんですか?

「写真のアルバムがあったろう

「えぇ えぇ えぇ 部屋の片面の壁全面アルバムの棚でしたもんね~

「前は時間が足りなくてなかなか整理できなかったんだけどね 今やっとゆっくりやってるんだよ

「ま そりゃ良かったですよね

「お前の写真も一杯あるよ
 
「そうでしょうね ………(と思い出したように)あ~ 生前は色々とお世話になりまして、ありがとうございます
  コンサートの度に写真をたくさんお借りして ほんとに助かりました

「まそんなお礼なんていいよ お前 水臭いじゃないか
  それにしても和明の写真は いつも笑ってるよな‥‥

「そうでしたか?

「そうだよ 俺なんて こいつはいつも笑っててバカじゃねえかって思ってたくらいだよ
  そんな世の中 いつもへらへらと笑っていられるほど甘いもんじゃないからな‥‥

「すみません

「いや ほめてんだよ

「そうですか?………ありがとうございます

「ま 今日はゆっくりしていけよ

「いやいや すいません! 今日はそうもいかないんです
  他にもいろいろとあいさつに廻らないといけないところがありまして‥‥

「そうかい? ま しょうがないな
  また時間が空いたら遊びにくるんだぞ

「はい 来ます 来ます(と言って立ち去ろうとして)


「あ~ あ~(と引き止めて)この前な とっておきのいい~写真を一枚みつけたんだよ
「へぇ~なんですかね そりゃまた


「…………この写真をみたらね こう気持ちがやわらぐって言うかな〜 フォットするんだよ

「はいっ? フォット? フォト……?
  どうも失礼いたしました




ドンドドストスト ドンドドストスト ドンドドストスト ドンドドン…………











camera/富田行音
















2016年6月27日月曜日

『和太鼓トーク齊富2016』終演に寄せて、その六





『和太鼓トーク齊富2016』終演に寄せて、その六

ご来場頂きました皆様に、感謝を込めて


和音(かずお)と栄太(えいた)
学校で笛(リコーダー)のテストがあった日の帰り道

※公演をご覧になっていない皆様は、スルーして下さい。
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栄太(E)/和くん


和音(K)/………


E/和くんが、どうしてあんなに笛の練習をしていたのかが、やっとわかった

K/………栄ちゃん、もうその話はいいよ

E/でもあんなフウにいきなり言われたら

K/栄ちゃん止めて

E/誰だってね

K/だからもうお願いだから

E/だけどね

K/もう

(見つめ合う二人)

E/………そうか




K/好きだったんだ

E/………

K/僕だって、僕だってね

E/分かったよ和くん、もう何も言わなくていいから

K/いけなかったと思うよ

E/わかってたの?



K/うんん、わかんなかった

   /でも

E/でも?


K/伝えたかったんだよ



E/あの歌はいい歌だよね

K/うん

E/先生も教科書にのっていないあの歌を、どうして笛のテストになんか出したんだろうね





二人の姿をあかね雲がやさしく見守っていました

つづく


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写真/青柳健二

























2016年6月25日土曜日

『和太鼓トーク齊富2016』終演に寄せて、その伍




『和太鼓トーク齊富2016』終演に寄せて、その伍


ご来場頂きました皆様に、感謝を込めて

長いです、21分強! お時間あります時にゆっくりご覧下さい。

トーク齊富2016 開演前 0619前座/太々喜亭玉祭 バナナおぢさん







2016年6月24日金曜日

『和太鼓トーク齊富2016』終演に寄せて、その四



写真左から、富田、平沼、齊藤
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拝啓、平沼仁一 様
 

あなたのお陰で幕が開き、幕が下りた。
 
三人揃うと、ほんと変な舞台が産まれるよ。
有難い。。。
骨は折れたけれど、最高に楽しかった。
次回がもしあったとすれば、その時もよろしくお願いいたします。

「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」松尾芭蕉

写真家の青柳健二さんが、ご自分のブログでトーク齊富を紹介して下さいました。

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「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」松尾芭蕉


『和太鼓トーク齊富2016』終演に寄せて、その参



拝啓、齊藤栄一 様




新緑が燃えるあの日、車は下の駐車場に停め、少し小高い丘まで歩くことにしました。

太陽がとても眩しくて陽射しも強く、木蔭が深く揺れていましたね。

その小径を歩いていた時、海が突然広がりました。


歩みを止めた二人。



夏が近いことを知らせるように輝く海の煌めき、

その存在をそっと伝えたかったのか、ゆるやかに髪を撫でた風、

あなたの声が聞こえて、振り向けば、



まだ蝉も鳴いていなかったはずなのに一瞬、大きく蝉時雨が聞こえたかと思うと、時間が止まっていた。

潮の匂いと、あなたの匂い。



あなたの胸の鼓動が私の胸を鳴らした時、

私は生きているんだ、と強く実感した。




 ………私たちが初めて会った日のことは、こんな風に何度でもいつでも思い出すことができる。






あれからずいぶんと年月が過ぎて、

あなたの誕生日をお祝いしていたあの夜、あんなことが起こるなんて………



一番驚いたのは私です。

そして一番大変だったのも私です。

そして不謹慎に思われるかもしれませんが、一番嬉しかったのも私です。



快楽と苦難は、時に同居し交差します。



あなたは、輝いていました。


何者にも犯されることのない輝きに満ちて、この今に打ち込んでいました。

私も同じです。

それ以上、何を望むことがあったでしょうか?





ほんとうに、ありがとうございました。


そして、お疲れさまでした。

できることなら、ゆっくりとお休み下さい。





また、もし出逢える日が再び訪れたのなら、その時はその声をそっと聞かせて下さい。


ドンドドストスト ドンドドストスト ドンドドストスト ドンドドン…………






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※公演をご覧になった方にはお判りだと思いますが、あの人がどうしても一言(一言ではないですが)齊藤さんにお礼を伝えたいというので、こちらに手紙を掲載させて頂きました。



写真/青柳健二



















































































2016年6月23日木曜日

『和太鼓トーク齊富2016』終演に寄せて、その弐

トーク齊富オリジナル曲の中の一つに、『南打町演舞場』がある。



これはもちろん僕が愛してやまない徳島の南内町演舞場をリスペクトしての付けた名前だ。

13年前の初演時に作ったこの曲は、毎回少しずつ変化している。

「阿波踊りではけっして見られない太鼓を見せる」
を合い言葉に、いつも何かもっとできないかと探ってきた。


四回目のトーク齊富となった今回も、通し稽古ビデオを演出協力の平沼仁一氏に見てもらい、

これ以上、なんとかならないもんかのぉ〜と、二人で思案していたその時、

その日も平沼は絶好調で、こんなのはどうだ、あんなのはどうだと、云ってくれていた。

その中の一つに、

「あの太鼓の上に、猿とかバナナの人形みたいなものを乗せるっていうのはどうだ?」
が、あった。

???………!!!

それはできる! これはいける! 



後日さっそくぬいぐるみ作家cocoちゃんに電話(やっぱり人任せです。でもこの人に頼むのが一番だと思った)し、

「cocoちゃんのところに、お猿さんいない?」と聞くと、

「ちょうど一匹、うちにいるけどぉ……」となり、貸して頂くことに、そして

「バナナはなぁい?」と聞くと、

「バナナはないけど、作れるんじゃない?」

「えっホント?cocoちゃん、ありがとう!」

「違いますよトミダさん、トミダさんが作って下さいよ」

「えっ? いや僕ですか……」

「そんなに難しくないと思いますよバナナなら、簡単に作れると思いますよ」

「ううん、そうですね………」

「それでそこにメガネね、針金で作ればいいんですよ」

「はぁ、そうですか、できそうですかね」

「できますよ、やってみて下さいよ」


電話を切って、齊藤栄一氏にcocoちゃんの言葉をそのまま伝えることにした。
齊藤はバナナおぢさんなんだから、齊藤がなんとかしてくれるだろうと。。。

これが公演の一ヶ月ほど前のことだったと思う。



この後、僕の徳島での怪我があり、公演の日も迫って来た或る一日、
cocoちゃんからお猿さんが届いた。


可愛い、だけじゃない、どこにもいない顔のお猿さんだと思った。

それで何だか、僕と相性がピッタリのような気が………。





翌日、僕が稽古場として使用している地区センターに太鼓と一緒に連れて行った。

そして太鼓の上に乗せてみた。

それで、ゆっくりと落とさないように太鼓を鳴らしながら歩いてみた。



こ、これは………

猿が生きているようだった。

太鼓も喜んでいるようだった。


僕がこのお猿さんの中に入っているようでもあり、
だから僕がこの太鼓の上に乗っかって踊っているようでもあり、
猿が太鼓を叩いている僕であるようでもあり、

とにかく異空間に飛んでいた。異空間で踊っていた。
ただ叩いて歩いただけなのに………

ありがとう平沼、ありがとうcocoちゃん、ありがとう猿さん



みんなが僕を応援してくれていた。



公演初日前日劇場に入って、齊藤のバナナと対面した。


齊藤は自分の手で作って来た!

さすがバナナおぢさんだよ!

型紙から作ったという。。。これ。




こうして、出会った二人。

阿波太鼓に付けてみた猿さんとバナナさんを見て笑い転げる齊藤と富田と、お手伝いの皆さん。
素直に受けた。

この気持ちは純粋だ。

理由はわからないけど、笑ってしまう。笑顔になるしかないんだ。

人形?の力って凄い。



そして公演本番。

舞台の上で、そこに猿さんとバナナさんが揺られているだけで、いつもの南打町演舞場がまるで違う演舞場になっていた。

たぶんうまく言えないけれど、
見ている人が猿さんやバナナさんになって太鼓の上に乗っかっていたりぶら下がっていたりしたんだと思う。

確かなことは、そこに命が宿っていたと思う。






















あまり叩けもしない太鼓を担いで叩いている僕を、一番身近で真剣に応援してくれていたのはこの猿さんだった。
そしてそれは、もう一人の僕自身の姿でもあったに違いない。


また、あのブラブラと太鼓の下で揺られていたバナナおぢさんも、まさしく齊藤そのものに見えていました。









写真/青柳健二
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