2016年6月22日水曜日

『和太鼓トーク齊富2016』終演に寄せて、その壱

僕の中で今回のテーマは、遺言だった。


人はいかに死ぬるのか?

しかし、

死ぬことは生まれることにならないか?
終わりは始まりにならないか?

人は死んでも まだ太鼓は叩き続けている その音は鳴り響いている ということにならないか?


そんなことをずっと考えて来た日々でありました。


思いがけないことは、六月頭に右手首骨折をしてしまったことだ。

太鼓を叩けなくてどうする?
これも太鼓打ちにとっては死んだということになるのか?

自分の意思とは違うところで、そんなテーマも重なった。






初日の公演は夢中で終わった。

朝から何度も何度も流れを頭と体に入れようと必死だったからだ。
一曲が終わって次がなんだったか、まるで記憶にない。
舞台袖に毎回入る度、「次なぁに?」と
お手伝いのスタッフさんに聞いていた。。。

そして右手が使えず、こんな形でも太鼓は叩けたのか?と自問した。
これで良かったのかと。

二日目は、気が緩んだわけではないが、自分の演奏には迷いがでてしまった。

三日目公演はやりきった。

これまでやろうとしていた形が、やっと見えた気がする。


三日目の舞台では右手の包帯もしっかり見せることにした。

その方が良かったんだ。隠すよりも。
どうせ怪我をしているんだし。
なんで一日目からそうしなかったんだろうと思うが、三日目に判った。
こうした方がいいと。


今回の舞台では清廉さと猥雑さの両方を、いくらか表現することも出来たと思う。

人間はみなその両面を持っている筈である。

そして、生(性)の本能。

太鼓舞台であっても、その表現から目を背ける事はできないと思っていた。
それが少しでも出来たという点は、納得している。
これが年輪というものなんだと思う。
若い時はできなかっただろう。

太鼓芸能生活39周年記念作品と呼んでも、羞恥はない。























































たくさんの皆さんのご協力を頂きまして終えられたことに、あらためて感謝いたします。
皆さん、ありがとうございました。
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『和太鼓トーク齊富2016』
出演/富田和明 齊藤栄一(鼓童)
演出協力/平沼仁一
照明/篠木一吉 
衣裳/伊藤晴美
舞台協力/橋本美和 小田嶋直子 小野和子
前座/太々喜亭玉祭 バナナおぢさん

事業協力/公益財団法人 江東区文化コミュニティ財団
制作協力/株式会社 北前船
協賛/株式会社 浅野太鼓楽器店

協力/成田山 深川不動堂 アートウィル 創光房 hippie coco 太鼓アイランド
受付販売/中村光子 佐藤きや子 伊村葉子 岩附裕子
写真/青柳健二 ビデオ/美齊津辰紀
打組/与那嶺幸代 富田行音 富田名音